COMMUNICATION 2026年4月30日

「働く姿」はどう変わる?
Z世代と語る、これからのビジネスウェア

「働く姿」はどう変わる?Z世代と語る、これからのビジネスウェア

若い世代の感性を服づくりに生かすこと、そしてファッション業界を担うデザイナーの育成支援を目的に、ORIHICAでは2022年より産学協働プロジェクトを展開しています。今回は、学生デザイナー2人をはじめとするプロジェクトメンバーが集い、これからのビジネスウェアについて語り合いました。仕事着としての信頼感を備えながら、動きやすく、個性も打ち出せる。話題にのぼったのは、そんな新しい発想でした。

PROFILE

女子美術大学 芸術学部 アート・デザイン表現学科
ファッションテキスタイル表現領域
芹田 菜々穂(せりた ななほ)

衣服の廃棄問題に着目し、裁断ゴミを出さない型紙制作や古着の再利用を実践。環境負荷を抑え、既存の資源を活かす持続可能な制作方法を探求している。(写真中央左)

女子美術大学 芸術学部 アート・デザイン表現学科
ファッションテキスタイル表現領域
郭 書宜(かく しょぎ)

服装デザインおよびパターン制作を中心に学ぶ。特に染織や素材表現に注力し、布の色や構造、身体との関係性を意識した制作を行っている。(写真中央右)

フレックスジャパン株式会社
営業第二部
石川 佳宏(いしかわ よしひろ)

2013年よりORIHICAの営業担当として、ビジネスライフスタイルに合わせた幅広い提案に従事。プロジェクトでは、デザイン案を服に仕立てる役割を担う。(写真右)

株式会社AOKI
ORIHICA商品構成部 チーフ
松本 幸恵(まつもと ゆきえ)

2017年度入社。ORIHICAの複数店舗で勤務し、2020年よりレディースのシャツ、ブラウス、カットソー、ニットなどのMDを担当。(写真左)

※ MD :マーチャンダイザー(商品の企画・開発や商品構成の決定、発注数量計画の立案などを専門とする職種)

Z世代がイメージする、現在のビジネスウェア

―女子美術大学でデザインを学んでいるお二人は、「ビジネスウェア」や「仕事服」と聞いてどんなイメージがありますか?

芹田:
普段着ている服に比べると、色や形、シルエットに制限があって、堅いイメージがあります。ただ、ユニフォームとして考えると、統一感やチームによる結束感などが感じられて、かっこいい印象もありますね。
郭:
私も少し厳格なイメージをもっています。快適性は高くない一方で、社会的な立場を表す役割があると感じます。
松本:
働き方が多様化しビジネスカジュアルやオフィスカジュアルも浸透してきましたが、やはり学生さんにとって、ビジネスウェアは今もなお堅いとか、動きづらいといったイメージが根強いんだなと感じました。だからこそ、そのイメージをどのように変えていくかが大切になるなと。
石川:
男性より自由度が高いレディースのビジネスウェアでも、そういうイメージがまだあるんですね。ただ、逆の視点から見れば、そこに伸びしろを感じました。
芹田:
実は、今日私が着ている服は、父からのおさがりです。服には「思い出をまとう」という面もあります。また、着る服によってモチベーションが上がったり、その日の気分を表現したりもできる。仕事の服にも、そういった余地があればいいなと思います。
郭:
服は自己表現の一つで、社会にメッセージを伝える役目もありますよね。自信や行動力にもつながるので、やはり仕事で着る服は重要です。
ビジネスウェアのイメージについて語る、芹田さん

多様化する価値観。次世代のビジネススタイルとは?

―この先のビジネスウェアに求めるものは?

郭:
仕事での信頼感は得られつつ、リラックスして着られて、かつシルエット、ディテール、素材の工夫などによって個性を表現できるものになってほしいです。
芹田:
先日飛行機に乗ったら、CAさんがパンツスタイルでした。長いフライト時間や、荷物の上げ下ろし業務などを考えたら、パンツスタイルの方が働きやすいですよね。ビジネスウェアも、一般的なルールに沿うだけではなく、業種や働き方に合った服装をいろいろ選べるようになったらいいなと思います。
石川:
もともとスーツは男女とも見た目の“かっこよさ”が重視されてきましたが、最近は着心地や快適性にも目が向けられ、大きな変化が起こりつつあると感じます。
松本:
レディースでも上下揃いのスーツにヒールを履く人の割合は減りつつあります。その代わりにオフィスカジュアルの装いで働く人が増え、オン・オフの垣根が低くなっています。最近では「会社の制服がなくなり、オフィスカジュアルで通勤することになった」と、ORIHICAを頼って来店されるお客様がすごく増えていて。お二人が挙げた理想のビジネスウェアは、そうした流れともリンクしています。また、働き方や服への志向がどんどん細分化しています。性別や年齢で区切るだけではなく、どうお客様一人ひとりに寄り添うか。日々試行錯誤しています。
石川:
男性のビジネスウェアも、シーンに応じてシャツやネクタイを着用しないことが一般的に受け入れられるようになりました。35年ほど仕事をしてきたなかで、最大の変化を感じています。今後、働き方はさらに人それぞれとなり、それに伴ってビジネスウェアの自由度もいっそう高まるでしょう。
これからのビジネスウェア像について語る、郭さん

産学協働だから実現できた、“自由な発想”の製品化

―皆さんは今、ORIHICAで販売する新アイテムを開発中とのことですが、今回のプロジェクトでは、どんな「新しいビジネスウェア」のアイデアが生まれましたか?

松本:
当プロジェクトでは、2025年秋に発売した、スポーツ感覚で着られるビジカジウェア「BIZSPO®」のレディースセットアップに合うトップス、というテーマでデザイン案を学生デザイナーの皆さんに考えていただき、それをフレックスジャパンさんが形にしました。今日はそのファーストサンプルをプロジェクトメンバーで確認しました。
郭:
私は、女性に人気のヨガとピラティスにスポットを当て、アウトドアアイテムをデイリーに着こなすブロックコアというスタイルと組み合わせてデザインしました。上品さの中にゆったりとしたシルエットを備え、さらにはウエスト部分にドローコード(調整用のひも)を施すことで、仕事、ヨガ、ヨガ後のオフという3つの場面で着られるようにしました。
芹田:
私はスキーをテーマに選び、中でも、日本にスキーブームが到来した80年代のイメージを採り入れました。春や夏に着るシャツということで、スキーウェアのベンチレーション(換気孔)を採用し、同時にそれをデザインのアクセントにもしました。ビジネスとは全く違う分野の要素を掛け合わせることで、ビジネスウェアがなじみやすいものになればと考えました。
石川:
シャツ専業メーカーとしてもっとも大切にしたのが、お二人がデザインしたシルエットを忠実に再現することです。その点で、当初はイメージ通りの形になるか不安もありましたが、いざふたを開けてみると機能面や生産面のことまで配慮されたデザインで、まったくの杞憂に終わりました。私たちも単なる製品化ではなく、「次世代のスタンダードをつくる」という緊張感をもって向き合うことができました。

※ 本取材時点では開発中。2026年4月9日に発売。

サンプルを手に、互いのアイデアを紹介

「着る人のことを考えたものづくり」がやりがいに

―今回のプロジェクトについての感想を教えてください。

芹田:
率直に、自分のデザインがプロの方々の手によって形になるのを目の当たりにし、「すごい!」と感じました。普段大学の授業などで制作する自分だけの作品は感覚的になってしまう部分も多いですが、「どの部分を何センチ変更する」など相手に的確に伝えることの大切さを学び、いつもとは違うやりがいを感じることができました。
郭:
これまでは自分が作りたいと思うものを制作してきましたが、お客様やマーケットのことを考えたものづくりをしたことで、デザインへの考え方が大きく変わりました。将来服づくりに携わる際には、ぜひこの経験を生かして、いいものを作っていきたいです。
石川:
長くひとつの仕事に携わると、常識や経験がブレーキとなり、考え方が凝り固まってしまいがちです。そこに今回、学生さんたちの新しい風が入り、とても新鮮でした。この共創は、我々メーカーにとっての「当たり前」をアップデートしてくれたと思います。今後も、こうした学生さんのフレッシュな発想に全力で応えていきたいです。
松本:
お二人が、商品にフォーカスするだけでなく、その先にいるお客様のことをすごく考えているのが印象的でした。今回の経験を糧に、ぜひ今後のファッション業界を盛り上げていただきたいです。ORIHICAとしても、こうした産学協働プロジェクトを通じて、次世代の感性を取り入れ、時代に寄り添うビジネスウェアを開発し続けていきたいと考えています。

働き方が多様化するなかで、ビジネスウェアに求められる価値もまた、大きく変わりつつあります。ORIHICAは、こうした変化を捉えながら、これからもものづくりに向き合っていきます。

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