AOKIの品質向上への取り組みは、商品が完成し店頭に並んでからも続いています。その中心的な役割を担うのが、品質管理部です。お客様の声などから得られる商品改善への“気づき”と、その分析について紹介した前編に続き、後編では、商品部や製造元と連携した商品改善のプロセスや、品質向上のための人財育成について迫ります。

PROFILE
株式会社AOKI
品質管理部 チーフ岡田 知佳(おかだ ちか)
2014年入社。店舗勤務を経て、2016年に商品構成部へ異動。レディース部門の在庫管理や商品企画業務に携わる。商品企画を担当していた2021年に、繊維製品品質管理士(TES)の資格を取得。2022年より品質管理部へ異動し、現在はAOKI・ORIHICA両ブランドのお客様からの声への対応や、社内の品質管理教育に従事している。
商品部や製造元とより良い一着を目指す
商品へのご指摘や課題など、お客様の声から得られた“気づき”の原因を特定し改善につなげることが、岡田さんたち品質管理チームのミッションです。そのためには、商品部や製造元との連携も欠かせません。
「まずは商品部の担当者と協議し、どのように改善を図るかの方向性を定めます。必要に応じて、製造元に調査や改善を求めることもあります。方針決定後も、試作段階から商品部の報告を受けながら、より良い商品づくりをサポートしています」
デザインや生地、ボタンやファスナーの素材など、改善の対象は多岐にわたります。企画担当者の思いが詰まった商品でも、岡田さんは「品質への妥協を許さない姿勢で臨む」といいます。
「とはいえ、私も商品部出身なので、デザインや素材・機能にこだわりたい気持ちはわかります。品質基準を守りながら、そのこだわりを生かすには、どのような方法があるのか。商品部と一緒に考えながら改善に取り組んでいます」
“記録”と“伝え方”の大切さ
品質管理部では、過去に商品部から受けた問い合わせの内容と、回答した改善方法をすべて記録し、商品部と共有しています。これによって、商品部は疑問点がある際に過去の類似事例を確認しながらスムーズに仕事を進められるほか、品質管理部内の「回答のブレ」を抑える効果もあるといいます。
「品質を守る以上、『担当者によって言うことが違う』ということがあってはいけません。判断が難しい事例については、過去の記録を参考にしたり、チーム全体で協議するなど、客観的かつ公平な視点を失わないように心がけています」
さらに岡田さん主導で、商品改善のプロセスも見直しました。これまで文章のみだった報告書を、写真付きの詳細なものに変え、商品部や製造元との情報共有を強化したのです。
「製造元からは『縫製工場へ具体的な指示が出しやすくなった』と好評でした。報告書を見直した翌年にはお客様からのお申し出件数も大幅に減少し、情報の伝え方一つで現場の動きが変わるのだと実感しました」

人財を育成しながら自身の知識もアップデート
AOKIでは、品質向上に向けた取り組みとして、繊維製品品質管理士(TES)の社内勉強会を定期的に開催しており、岡田さんが講師を務めています。過去に検査機関に在籍していたアドバイザーにも助言をもらいながら、「なるべくかみ砕いた説明を心がけている」と話します。
「テキストだけではイメージが伝わりにくいので、実際に改善対象となった商品を用いて説明することもあります。人に教えることで、自分の理解も深まりますね。TESのテキストは随時改訂されますが、現場では改訂より先に新たな事例に直面することもあるので、常に知識をアップデートするようにしています」
また、AOKI独自の品質基準についても、定期的に見直しを行い、多様化する素材やトレンドに合わせた最適な基準へアップデートを図っています。スーツやインナー、小物など品種ごとに基準が異なるため、一つひとつ時間をかけて見直しています。
お客様の信頼を積み重ねて
岡田さんは、品質管理の仕事のやりがいをこう語ります。
「お客様からのお申し出件数が、ここ3年で30%ほど減っていることに手応えを感じています。お客様が残念な思いをするシーンを減らせていることが嬉しいですね。『AOKIの商品は品質が高い』と、心から信頼していただけるブランドであり続けることが目標です」
そのために現在注力しているのが、社内教育とフォローです。
「商品部に対してはTESの取得支援などを通じて、企画段階から高い品質を維持する体制を整えています。また、営業部には、お客様へ取り扱い方法を説明するための教育や、店舗で使える学習ツールの提供を進めています。全社員の専門性を高めることで、お客様により安心と満足をお届けしていきたいです」
品質管理は、基準に照らして品質を担保する「守り」だけでなく、社内との連携で良い商品を生み出す「攻め」の仕事でもあることが、岡田さんの話からうかがえました。品質管理部が積み重ねてきた改善は、AOKIの一着に確かに息づいています。

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