PROJECT 2024年2月22日

スーツがシューズに生まれ変わる!「ウールエコシューズ」開発プロジェクト

スーツがシューズに生まれ変わる!「ウールエコシューズ」開発プロジェクト

AOKIは、1996年に「AOKIウール・エコ・サイクル®」プロジェクトをスタートしました。不要になったスーツなどの衣類を回収・リサイクルする仕組みは、当時まだ取り組む企業や団体もなく、日本初の試みでした。そして今回、このプロジェクトから初めて“AOKIの店舗で販売する商品”が誕生しました。「ウールエコシューズ」と名付けたその商品が完成するまでの歩みと開発担当者の想いをご紹介します。

開発担当者のひらめきがきっかけで商品企画がスタート

AOKIは25年以上「AOKIウール・エコ・サイクル®」プロジェクトに取り組んできましたが、回収した衣類は自動車の吸音材などの産業資材にリサイクルされていました。

開発担当者は「回収したスーツからAOKIの店舗で販売できる商品をつくれないか?」と長年にわたって構想を練ってきました。「店舗で回収したスーツが、リサイクルされ、商品としてお客様の手元に届けたい。」そうした願いから、プロジェクトのパートナー企業である東亜紡織(株)と協力し、商品化に向けて試行錯誤を重ねていました。

ブレークスルーのきっかけは突然訪れました。開発担当者がある展示会に参加した際、ふと「リサイクルされた繊維を使った靴」が視界に飛び込んできたのです。折しも世界的にサステナブルシューズが注目されはじめた時期であり、「これはリサイクルウールでもできるはず!」と確信を得た開発担当者は、すぐさま開発に着手しました。

ウールエコシューズ

ウールエコシューズを生み出した「糸からつくるAOKI」のこだわり

せっかくリサイクルウールで靴をつくっても、お客様が普段使いできる商品でなければ意味がありません。お客様が手に取りやすい価格で品質の良い商品を販売すること。そしてそのために「糸」にもこだわることは、創業時から変わらない AOKIの信念です。

この信念は開発担当者にも受け継がれ、今回の「ウールエコシューズ」も糸の開発から着手しました。また、「普通の商品と変わらない見た目にしたい」という開発担当者の想いもあり、多くの人に受け入れられるデザイン・機能性を目指しました。

開発時に特に苦労したのは、糸としての強度の確保です。回収したスーツを糸に戻すさまざまな工程のうち、生地を綿状にする「反毛」とよばれる工程があります。その際に繊維が短くなり、切れやすくなってしまうのです。

解決に役立ったのは、AOKIが培ってきたモノづくりの力。スーツやスラックスなどのウール製品には、化学繊維を混ぜ、さまざまな機能性を持たせます。そのノウハウをシューズにも応用し、東亜紡織とともに何度も試作を繰り返しました。配合するポリエステルにもこだわり、ペットボトルからできたリサイクルポリエステルを使用。また、染色すると糸の強度が落ちてしまうため、今回は黒のスーツ・礼服のみを使用し、染めなくても綺麗な色になるようにしました。
そうして約1年をかけ、納得できる強度と美しさをもつ糸が完成したのです。

その後、表地に透湿防水フィルムを施すなど、靴としての使いやすさや機能面の開発を進め、構想から約2年。念願の「ウールエコシューズ」が完成しました。

ウール製品の再資源化の過程

環境配慮とお客様満足を両立する、リサイクルウールの可能性

商品発売後、回収した衣類が直接お客様の手元に届く商品になるという点が世間から注目され、メディアに取り上げられるなど反響を呼びました。また、お客様からは「パジャマスーツ®」との相性が良いとの評価もいただいています。

現在、「ウールエコシューズ」のアッパー部分は100%リサイクル素材を使用していますが、インソールや靴紐などもリサイクル素材でつくれないかチャレンジを続けています。将来的には、アッパー以外もすべて100%リサイクル素材にすることを目指します。また、靴だけでなく、他のアイテムでもリサイクルウールを使った商品を構想中です。

限られた資源を大切に、有効に使えるよう、これからも AOKI流のモノづくりでファッションロスの解決に取り組みます。

販売時の様子
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